めだたない子に気配りを
先生を辞めて、ずっと経った今、教員生活で後悔があるとしたら何かを考えた時に、一つは、“良くも悪くもめだたない子に、もっと気配りをすれば良かった”ということでした。
先生のそばに来て よく話してくれる子、教科の成績がものすごく良い子、すごく理解に時間のかかる子、何かにずば抜けて能力が感じられる子、ものすごく手のかかる子、みんなと同じ行動の取れない子、ポツンとしている子は、印象に残りやすいです。
でも、周りに来ても、他の子が先生と話すのをただにこにこ聞いていたり、輪の中にいてもめだたない子は何人もいます。
めだたないということは、やるべきこともちゃんとやっていて、問題行動も起こさない子です。頑張っている子達です。
その場で声をかけてもらうのを待っていたかもしれません。何か言いたかったのかもしれません。
今、あの当時に戻れるのなら、ぜひ、そういうめだたない子に、もう少しできることはなかったのかを考えます。
一日2、3人を視る
クラス全体をみること・感じること・考えること、気になる子・事柄を考えることは大事です。
一人一人は、どうでしょうか? 本当に、その子のことを見ていますか? 勿論、人は色々な面があり、全てわかる訳はありません。でも、この子は、こういう面があります、というのをいくつ知っているでしょうか?
たくさんの子を見ているようで見ていない、で毎日が過ぎていきます。新採時に教務主任に教えてもらったことがあります。
それが“一日2、3人を観察する”というものでした。今日は、この子とこの子、と決めて観察します。朝行ってから、授業の始まる前、休み時間、時には授業時間(机間巡視時等)、給食時間、掃除時間、終わりの会、放課後・・・とさりげなく気をつけます。さりげなく見ているだけで、姿勢や友達との接し方、癖や好きなこと等、本当にいろいろなことが見えてきたりします。今日はこの子、と視ていなければ、見逃していることばかりだったりします。断片的メモでいいので記録しておくといいです。
そうやって次の日は、また別の子達を見ていきます。2、3人としたのは、クラスの人数が多いと一通り回るのに日数がかかり過ぎるためです。一周したら、また以前視た子達を見ます。新たな一面や以前との違い・成長にも気づくかもしれません。
また、そこで感じたことは、その子にアドバイスできるだけでなく、全体で見直すきっかけになったりします。姿勢の悪い子が他にもいた時や、いじめにつながるような言動や表情、クラスとして変えていった方がいいと思われること等々です。絶対毎日2、3人と課さず、できない日もでてくるので、できる日には見るという姿勢でいるといいと思います。