初めて犬を飼う人に贈るノンフィクション童話【犬をかうということー5/8】

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犬を洗っている
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お散歩とシャワーと おとまり

 ボクは お散歩が きらい。

 自分で歩くと こわくなちゃう。近づいてくる車の音も こわいし、たまにふく風の音も こわい。ドライブで まどを開けて、耳が空を飛んでるようになるのや(『ダンボ』とか言ってた)、外でも、だっこされてれば 平気なんだけどね。

 それから、いつもいる部屋と、足の肉球の感じも、チクチク ザラザラしていて ちがうんだ。ベランダに出た時、こしと 身体全体を低くして、シッポをおしりの下に かくして、鼻で、「フンッ」「フンッ」って 右や左をたしかめながら、ちょうノロノロで進んだら、「『めいたんていフォルテ』だ。」って 笑われた。たんていが、地面を虫めがねで調べながら進むのと そっくりなんだって。

 それでも お散歩に 連れていかれそうになると、

  • 前に進まないように 力を入れる。
  • だっこして ちょっと遠くへ行ってから おろされた時は、全力で、家に もどる。
  • 車で遠くの公園へ行って、お散歩の時は、…そう、うちの車まで 全力で走る。

 がんばってるでしょ。

 でも、あまり お散歩しなくて よくなったの。うちの中を走り回ってるし、

外のお散歩は ウンチしたくなるんだ。ボクは家でウンチしてるのに、お散歩で おなかゴロゴロしてきて、またウンチ出るから、ウンチが ゆるくて“大変な”ことに なるらしい。

 ママは「あの犬、上手に お散歩している。シッポ 上に あがっているし。えらいわぁ。」なんて言うことがある。

 

 犬が みんな お散歩すると思ったら、大まちがい。

 お散歩が きらいな犬がいたって…いいよね?

 ボクは、シャワーも好きじゃない。家のおふろで あらうこともあるけれど、シャワーで お湯をかけられると、身体が動かなくなっちゃうんだ。シャワーが終わって、温かい風を当てられるのも好きじゃない。

 ときどき、犬の美よう室にも行く。お姉さんは、あらうのも かわかすのも、ママ達より 気持ちいい感じ。カットも つめ切りも してもらう。ママは「しば犬カットで お願いします。」って言うんだよ。まちがってるんじゃないのかなぁ。ボクは、ミニチュアダックスフンドのはずだもん。

 お姉さんは 最後、ボクの首に、ちょうネクタイみたいなリボンをつけてくれる。ボクは ちょっと くすぐったかったり、かゆかったりするんだけど、みんなが「季節に合ってて カッコいい。」「今回の色も にあってる。」ってニコニコするから、ボクは首をのばすように おすましする。身体を「いいにおい。」「毛布か じゅうたんみたい。 」って 何回も なでてくれるから、それは好き。

 お姉さんは、「良い子でしたよ。」「静かに ねておられましたよ。」って言うけれど、シャワーや 風が こわくて動けなくて、じっとしてて、その後、つかれて、ねちゃっただけなんだけどなぁ。だからボクは、ママ達がボクをだっこして、お姉さんに「ありがとうございました。」ってあいさつしてドアを開ける時、「本当はイヤだったんだよ。」って、思いっきり大きな声で「ワンッ!」って言って帰るんだ。

 この美よう室は、ボクが かわれた時から 行っている。ママ達が旅行に行く時、ボクを連れていけないから、ボクは お姉さんの所に おとまりする。ママ達は、一つだけの おとまりなのに、ボクを連れて行く時間や むかえにくる時間の関係で、ボクは三つも おとまりに なっちゃう。初めての おとまりの時、ボクが 何も食べなくて、水も飲まなくて、おしっこも しなくて、心配かけちゃった。短い おるす番は、お昼ねしているからいいけれど、おとまりは さみしくて、イヤだなぁ。でもママ達も ボクが長いおとまりをしなくていいように、旅行をがまんしているみたい。おとまりの帰りも、思いっきり大きな声で言うんだ。「ワンッ!」って。

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